農畜産物ゲノム情報データベース

事業の概要

これまでの農畜産物ゲノム研究においては、ゲノム塩基配列の解読とともに、農業上重要な形質を担う遺伝子の単離や育種の効率化を図るためのDNAマーカーの開発等を進めてきました。これらの情報は、新たな作物や家畜の作出を効率的に進める上で、非常に有用な資産となります。

さらに、ゲノム解析機器の技術革新により迅速かつ安価なゲノム解析が可能となっていることから、これを用いて多種多様な遺伝資源のゲノム情報を解読し、塩基配列の相同性や差異、形質情報等との関連を解析することで、新規遺伝子の単離やDNAマーカーの開発の加速化、鍵となる遺伝子にターゲットを絞った品種開発など一層の育種効率向上が可能となります。

そこで、これまでに生み出されたゲノム情報等を利用しやすい形で研究者に提供するデータベースを構築、運営するとともに、超高速シーケンサー等の先端技術を効果的に活用し、大量の一次情報を高速・高精度で処理する手法の開発と、ゲノム情報を形質情報と関連づけ農業上重要な形質を担う新規遺伝子の単離やDNAマーカーの開発を支援するシステムを構築します。

背景

食料自給率の向上のためには、農業上重要な形質を担う遺伝子を数多く発見し、それらの情報をもとに開発したDNAマーカーを使用して、我が国の栽培環境や作付け体系に適した画期的な新品種を開発し、飼料用米、小麦、大豆等の作付けを大幅に拡大することが重要です。

そのためには、次世代型ゲノム解析機器から生み出される大量かつ複雑な情報を効率的に処理し体系的に整理するとともに、蓄積したゲノム情報から未確認の遺伝子を効率的に発見するシステム整備が必要です。

「食料・農業・農村基本計画」でも、様々な農政の課題に技術面で的確に対応するため、新品種や革新的な生産技術の開発、新需要を創出する付加価値の高い農産物・食品、農林水産生物の機能を利用した新素材・医薬品の開発等について、計画的・効率的に推進することとされています。

主な内容

  1. 高次解析システムの開発
  2. 次世代型ゲノム解析機器から生み出される膨大なゲノム断片情報を高速・高精度でつなぎ合わせ整理する機能や、塩基配列情報から未確認の遺伝子の存在場所を予測する機能など、大量かつ複雑なデータを効率的に処理する解析システム(Galaxy/NIAS)を開発します。

  3. データベースの改良、運用
  4. 農畜産物のゲノム情報やDNAマーカー情報を効率的に整備・統合したデータベースを構築・公開し(SOGO)、大学や民間企業等の研究者に提供します。